資産税の記事を紹介します。

 

今回は

 

遺言により配偶者に配偶者居住権を取得させる場合、遺言書には「相続させる」ではなく「遺贈する」と記載する

 

を紹介します。

 

配偶者居住権とは(ざっくりと)

 

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として,終身または一定期間,配偶者に建物の使用を認めることを内容とする法定の権利です。

遺産分割や被相続人の遺言により、配偶者に「配偶者居住権」を取得させることができます。

 

「相続させる」旨の遺言では配偶者居住権は取得できません

 

次のとおり条文上にも「遺贈」によるとされています。

 

民法 第1028条(配偶者居住権) 

被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利を取得する。以下(略)。

 

一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。

二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき

 

「相続させる」という遺言であった場合に放棄の放棄を選択したときは

 

被相続人の死後、配偶者が配偶者居住権の取得を放棄したいと考えた場合、相続の放棄はすべての遺産の取得を放棄するものであり、一部の放棄はできないとされています。

つまり、配偶者が配偶者居住権の取得を放棄するためには、遺産全部の相続放棄をすることになり、配偶者の利益を害することになります。

 

したがって「遺贈する」という表現が正しいです。

 

 

しかし「相続させる」としたとしても、次のように遺言の効力は総合的に判断されます

 

遺言書中の特定の条項の解釈について (最高裁判例昭和58年3月18日)

 

「遺言の解釈にあたっては、遺言書の文言を形式的に判断するだけでなく、遺言者の真意を探究すべきものであり、遺言書の特定の条項を解釈するにあたつても、当該条項と遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などを考慮して当該条項の趣旨を確定すべきである。」

 

つまり、「相続させる」とした遺言でも、被相続人は配偶者居住権を「遺贈する」という趣旨だったと判断する方が合理的な解釈が生じます。

 

 

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