井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2018.11.06.Tue | 介護事業

「前払金の保全措置」義務違反の有料老人ホームへの指導を強化~ 平成30年度介護報酬改定 特定施設入居者生活介護⑪

 

介護報酬改定の重要な改定事項を、カテゴリー別にご紹介しています。

有料老人ホームなどの「特定施設入居者生活介護」(以下「特定施設」)です。

今回は、改定事項以外の記事です。

 

「前払金の保全措置」とは

 

入居者保護の観点から、有料老人ホームの設置者に対し、家賃や入居一時金等の名目で前払金として一括して受領する場合、その前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、その前払金について必要な保全措置を講ずることを義務付けています。

(老人福祉法第29条第6項)

 

前払金の保全方法については

 

「厚生労働大臣が定める有料老人ホームの設置者等が講ずべき措置」(平成18年3月31日厚生労働省告示第266号)において、次の5つのいずれかの措置を講じることとされています。

① 銀行等との連帯保証委託契約

② 指定格付機関による特定格付が付与された親会社との連帯保証委託契約

③ 保険事業者との保証保険契約

④ 信託会社等との信託契約

⑤ 高齢者の福祉の増進に寄与することを目的として設立された一般社団法人または一般財団法人との間の保全のための契約で前記①から④に準ずるものとして都道府県知事が認めるもの(例えば、社団法人全国有料老人ホーム協会の入居者基金制度が該当します)

 

 

厚生労働省老健局高齢者支援課長から「有料老人ホームを対象とした指導の強化について」が発出されています(平成30年3月31日付)

その中で、義務違反の「前払金の保全措置を講じていない有料老人ホーム」がまだあります

 

平成18年4月1日以降に設置された有料老人ホームのうち前払金の保全措置を講じていない39事業者が、老人福祉法第29条に違反しています。

 

 

(出所:厚生労働省課長通知)

 

 通知は、保全措置の方法のうち、「取引条件等で銀行保証等を利用することが困難な有料老人ホーム事業者に対しては、担保を必要としない公益社団法人全国有料老人ホーム協会による入居者生活保証制度を活用することなど」の利用を促しています。

 

一方、有料老人ホームの入居者保護のため、前払金の保全措置を講じる義務があるホームの対象が拡大しています

 

今後、対象外だった平成18年3月31日以前に開設したホームにも適用されます。ただし、適用は2021年度からになります。

 

有料老人ホームなどは、提供するサービスが多様です。また、居住形態には利用権や賃借権などの権利形態があります。それゆえ前払金という一括して受領する仕組みがあるわけですが、その金額の明細の説明と併せて、保全措置を行うことは必須です。

 

 

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火曜日は「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬改定」として記事を紹介しています。

ブログ記事は

http://www.y-itax.com/category/kaigo/

 

平成30年度

「有料老人ホームなど特定施設入居者生活介護」の介護報酬改定は次のとおりです。

① 「新しい住宅セーフティネット法」が10月25日から施行されています

② そもそも特定施設入居者生活介護とは 

③ 吹田市のサービス見込量の推計について

④ 有料老人ホームなど基本報酬の引上げを抑え、医療連携に新加算

⑤ 「身体拘束廃止未実施減算」への対応

⑥ 身体拘束廃止未実施減算とは

⑦ 生活機能向上連携加算の創設

 若年性認知症入居者受入加算の創設

 口腔ケアによるQOL改善と栄養状態の管理を評価

 ショートステイ特定施設入居者生活介護の利用者数の上限見直し

 

「通所介護」の重要事項は次のとおり。

① ADL(日常生活動作)維持等加算の算定ポイント

 基本報酬のサービス提供時間区分の1時間ごとの見直し

③ 生活機能向上連携加算の創設のポイントと影響

 栄養スクリーニング加算創設のポイント

⑤ 「栄養改善加算」外部との連携で管理栄養士を配置した場合にも算定可能

 共生型生活介護など介護と障害福祉の両方で共生型サービスが始まっています

 通所介護の共生型サービス提供の考え方

⑧ 障害福祉サービス事業所が要介護者にサービスを提供する場合

 

「認知症対応型共同生活介護」重要事項は次のとおり

① 認知症対応型共同生活介護と医療連携体制加算の区分新設

② 退院後の再入居受け入れの評価の新設

③ 緊急ショートステイの見直し

④ 口腔衛生管理体制加算の創設

⑤ 栄養スクリーニング加算の創設

⑥ 生活機能向上連携加算のポイント

⑦ 介護職員処遇改善加算の見直しポイント

 

「介護老人保健施設」重要事項は次のとおり

① 類型が大きく見直されました。在宅復帰・在宅療養支援等指標が導入

② 介護老人保健施設の役割は在宅復帰・在宅療養支援。基本報酬体系が大幅に見直し

③ 在宅復帰率が低くても在宅復帰・在宅療養支援機能加算Ⅰを算定し「加算型」で増収

④ かかりつけ医連携薬剤調整加算の新設

⑤ 所定疾患施設療養費Ⅱの新設

 

「訪問看護」重要事項は次のとおり

① 基本報酬の見直しで要支援者向けの報酬体系を新設。リハビリ職の訪問が報酬減

② 訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し

③ 中重度者対応やターミナルケア促進するため看取りや24時間対応を評価します

④ 複数名訪問加算〝複数名による訪問看護に係る加算の実施者の見直し〟

 

「居宅介護支援」重要事項は次のとおり

① 居宅介護支援は、見直されて基本報酬は約1%引き上げ

② 入院時情報連携加算(Ⅰ:月200単位、Ⅱ:月100単位)の見直し

③ ケアプラン初回作成の手間が評価された退院・退所加算の見直し

④ ターミナルケアマネジメント加算の新設

⑤ 改定の目玉 医療・介護連携を促進する観点で新設された特定事業所加算Ⅳ

⑥ 主任ケアマネジャーであることを管理者要件とする管理要件の見直し

 

「訪問介護サービス」重要事項は次のとおり

① 基本報酬の見直しは

 見守り的援助は身体介護に該当することを明確化

 新たに生活援助従事者研修課程が創設されました。

④ 生活機能向上連携加算に下位ランクの加算Ⅰを新設

⑤ 集合住宅減算はすべての建物が対象となります

⑥ 訪問回数の多いケアプランは市町村に提出し、地域ケア会議で検討を義務付け。

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説

・木曜日は「法人節税策の基礎知識【創業者向け】

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」

 

免責

ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

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