井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.12.10.Wed | 税金(法人)

「有姿除却」の適用ルールと注意すべきポイントについて ~ 法人節税策の基礎知識[128]




法人税・償却資産税の記事を掲載します。






「有姿除却」とは使用を廃止した固定資産について廃棄せず、その現状有姿のまま除却処理をするというもの






を紹介します。



使用を廃止した固定資産が次の要件に該当する場合



① 事業の用に供していない。

② その資産の処分に多額の費用がかるため、除却処分せずに保有している。

③ 今後、通常の方法により事業の用に供する可能性がない。


除却は行っていないけれども、将来の使用状況を推測すると、除却したと同じであり、特例として損失計上を認めるという制度を「有姿除却」といいます。




<参考>


法人税基本通達7-7-2(有姿除却)


「次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。


(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産

(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの」




「有姿除却で注意すべきポイントは次の2つです




1 有姿除却は除却の事実がありません



つまり、「除却損失の発生時期を証明すること」と「将来、通常の方法により事業の用に供する可能性がないこと」を客観的に証明することがなかなか難しいです。

 したがって、文書により①除却理由、②廃棄ではなく有姿除却を選択する理由、③除却後の保管方法、④使用する可能性がないエビデンスなどを、可能な限り準備しておく必要があります。




2 法人税と償却資産税の評価額の最低限度に注意します












表のように、法人税では備忘価額1円ですが、償却資産の評価(地方税)は取得価額の5%が残ります。この最低限度額(5%)が評価額として残り続け、課税対象となります。注意が必要です。







<参照>

固定資産管理の実務について


→ 固定資産台帳を作成する目的は減価償却をするためです

→ 固定資産管理で注意したいポイント!固定資産管理業務のざっくりの業務フローについて

→ 機械装置、器具備品などの固定資産管理をおろそかにした際の問題点

→ 固定資産のうち過去に売ったもの廃棄したものが帳簿に残っていませんか?

→ 固定資産の除却による節税効果について

→ ソフトウエアの除却損失による節税効果について

→ そもそも法人税法上の固定資産とは?

→ 少額の減価償却資産や一括償却資産などの償却方法と償却資産の申告要否について

→ 法人税法上の償却方法と償却資産税の取扱いの注意点について










「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。

(ピーター・F.ドラッカー)

大雪の1日、元気にお過ごしくださいね。











[編集後記]


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