井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2020.06.23.Tue | 介護事業

現金給付を介護保険給付として制度化するか否か?【介護保険制度の見直しに関する意見】~ 2040年問題㉚

 

2019年12月に開催された社会保障審議会・介護保険部会において、2040年を踏まえた2021年度の「介護保険制度改正」の考え方があきらかになっています。

 

介護保険制度見直しのポイントは、次の5つです

Ⅰ 健康寿命の延伸(介護予防・地域づくりの推進)

Ⅱ 保険者機能の強化

Ⅲ 地域包括ケアシステムの推進

Ⅳ 認知症施策の総合的推進

Ⅴ 持続可能な制度の構築・介護現場の革新

1 介護人材の確保・介護現場の革新

2 給付と負担

Ⅵ その他の課題

 

このうち、今回は「給付と負担」の中で取りあげられている

 

“現金給付を介護保険給付として制度化するか否か?”

 

の意見を紹介します。

 

介護保険給付として「現金給付」の検討

 

介護保険制度創設時より、現金給付を介護保険給付として制度化するか否かについて議論を行ってきています。

介護保険制度の創設時には、次の理由から現金給付の導入を行わないこととしています。

■家族介護の固定化に対する懸念

■サービスの普及を妨げることへの懸念

■保険財政が拡大するおそれ

■介護をする家族に対して、デイサービスやショートステイなどの在宅サービスの普及により介護の負担軽減を図ることの重要性

 

「介護保険制度の見直しに関する意見」(社会保障審議会介護保険部会、H16年)では

 

サービスの利用の拡大や国民意識の変化、財政面の懸念等から、現金給付に対する消極的な意見が強まっているとされています。

 

「介護保険制度の見直しに関する意見」(社会保障審議会介護保険部会、H28年)では

 

次のような理由から現時点で現金給付を導入することは適当ではないとしています 。

■「介護の社会化」という制度の理念や介護離職ゼロ・女性の活躍推進の方針に反しています。

■仕事と介護の両立が阻害される恐れがあります。

■新たな給付増につながります。

 

今回の議論は現金給付については消極的な意見です

 

■現金給付については、 介護者の介護負担そのものが軽減されるわけではなく介護離職が増加する可能性もあり、慎重に検討していくことが必要です。

■現時点で導入することは適当ではなく、「介護離職ゼロ」の実現に向けた取組や介護者(家族)支援を進めることが重要です。

 

(出所:社会保障審議会・介護保険部会資料 19/12/27)

 

 

「2040年問題」とは

高齢世代の高齢化、団塊ジュニアの高齢化(65歳以上)という人口構造の変化により、日本の社会に新たな問題が生じることです。

しかし、それを「問題」ととらえるか、「変化」ととらえるかで、モチベーションに違いが生まれます。

後者の立場で、積極的な考え方をしていきたと考えています。

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

向暑の1日を元気でお過ごしください。

 

 

【編集後記】

6月21日は父の日ということで、娘2人のうち1人がカプレーゼ(トップの画像)と三種類のピザをつくってプレゼントしてくれました。

美味しくいただきました。ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

もう1人の娘から、渡辺貞夫の新しいCDのプレゼント。

楽しく聴いています。ありがとうございます!

 

 

2040年問題

① 介護保険制度地域支援事業の「生活支援サービス」へのニーズの増加

 介護サービスの利用者数は2040年度までに約1.5倍に増える見込です

③ 「ポスト2025年」2040年に向けて介護事業を考えるときの視点

④ 2040年に向けて介護事業を考えるときの視点「健康寿命の延伸」とは

 介護事業を考えるときの視点「医療・福祉サービスの改革」とは

⑥ 介護事業を考えるときの視点「健康寿命の延伸プラン」の内容とは

⑦ 生産性の向上を図るための「医療・福祉サービスの改革」の内容とは

 「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」マンパワーシミュレーション

 介護ロボット開発等加速化事業と税制優遇措置(税額控除と固定資産税の特例

⑩ 介護ロボットの導入による業務負担軽減と経営力向上計画の作成

⑪ 管理者要件」主任ケアマネジャー以外も継続可能です。経過措置を6年間延長

 2021年度介護報酬改定に向けた検討事項について

 2021年度「介護保険制度改正の全体像」(介護保険制度の見直し関する意見

 「一般介護予防事業の推進」~介護保険制度の見直し関する意見

⑮ 総合事業の効果的な推進 ~ 介護保険制度の見直し関する意見(介護保険部会

 求められるケアマネジメントとは何か

 保険者(市町村)機能の強化を図るためのPDCAプロセスの推進

 保険者(市町村)機能の強化【調整交付金】【データ利活用の推進】

 地域の実情に応じた地域包括ケアシステムの取り組みが必要

 地域包括ケアシステムの推進【医療・介護の連携

㉑ これからの介護保険事業計画における「認知症施策の総合的な推進

 「介護人材の確保と介護現場の革新」~介護保険制度の見直し関する意見

 被保険者範囲と受給者範囲の見直しの視点【介護保険制度の見直し関する意見】

㉔ 今後の補足給付の在り方についての検討【介護保険制度の見直し関する意見】

㉕ 施設サービスにおける多床室の室料負担について

 ケアマネジメント(居宅介護支援)の10割給付(自己負担はゼロ)の見直し

 軽度者(要介護1・2)への生活援助サービスに関する給付の在り方について

 費用負担が重いときの高額介護サービス費(利用者負担が一定額を超えると払い戻しされます)について

 利用者負担割合を「3割」または「2割」とする所得等基準について

 

 

高齢化に伴う日本の社会的課題に対して、会計・税務専門職としての役割を果たしたいと考えております。

創業者には、事業を着実に成長させるために次のようなサービスを提供しています。

 

創業起業サポート 「創業者応援クラウド会計サービス」と「顧問相談クラウドサービス」

 

 

火曜日は、介護事業に関する記事を紹介しています。

ブログ記事は

http://www.y-itax.com/category/kaigo/

 

 

介護職員等特定処遇改善加算(2019年10月実施)

①  新たな介護職員処遇改善加算の「取得要件」と「加算率」

 3要件のうち「職場環境等要件」と「見える化要件」とは

 勤続10年以上の介護福祉士がいない「経験・技能のある介護職員」のルール

④ 勤続10年以上の介護福祉士がいない「経験・技能のある介護職員」のルール

 「特定加算」の仕組みと賃金改善の考え方の3つのポイント

 経験・技能のある介護職員」の賃金アップが不可能な場合

 特定処遇改善加算と処遇改善加算を合計した上乗せ率、最上位20%

 改善計画書作成2つのポイント。「特定加算の見込額」と「賃金改善の見込額」

 改善計画書の作成ポイント「各々のグループの平均賃金改善額を算出

⑩ 改善計画書の作成ポイント。3要件のうち「職場環境等要件」とは

 「見える化要件」とは

 実績報告書を提出する必要があります

 4月から“年5日の年次有給休暇取得の義務”をご存じですか

 2019年4月から「労働時間の状況の把握」が義務化されています

 「職場環境等要件」と介護プロフェッショナルキャリア段位制度

⑯ 特定加算(Ⅱ)の算定にあたっては介護福祉士の配置等要件は満たす必要はない

 既に賃金が年額440万円以上の者がいる場合

 配分ルールを決めるまでの6ステップ

⑲ 「特定加算」の算定単位、法人単位、事業所単位

 事業所内で働く介護職員がすべて「経験・技能のある介護職員」である場合

㉑ 介護だけではなく、看護や障害福祉サービスの業務を兼業している職員がいる場合

 

2025年に向けた介護人材の確保~介護人材確保の具体的な方策

 離職者の7割が入職後3年以内の者

② 新任介護人材の早期離職防止のための具体的な方策

③ なぜ、介護職は働き続けるためのキャリアパスの構築ができないのか

 介護職に必要なキャリアパスのキーワードは「多職種によるチームケアの推進」

 介護職のグループリーダーが担うべき役割と能力

 介護職のグループリーダー育成の考え方

 介護職のキャリアパスの考え方について

 介護人材のすそ野の拡大を図るための「入門的研修の実施

⑨ 介護の在留資格。外国人の在留資格「特定技能」(介護)の創設

⑩ 特定技能(介護)は技能実習生の重要な受け皿です

 特定技能(介護)制度における外国人保護の新たなルール

 

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「介護事業」

・水曜日は「消費税」

・木曜日~日曜日はテーマをきめていません。

 

 

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