井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2020.10.30.Fri | 税金(相続・贈与・譲渡)

期間途中で合意解除により配偶者居住権を売却した場合 ~ 贈与や相続・譲渡など資産税[27]

 

 

配偶者居住権の記事を紹介します。

 

今回は

 

期間途中で合意解除により配偶者居住権を売却した場合、つまり対価の授受があったとき

 

を紹介します。

 

 

たとえば

夫が死亡し遺贈により妻が配偶者居住権を取得し、息子が土地・建物の所有権を取得しました。

 

その後

配偶者居住権の存続期間の途中に、合意解除等により配偶者居住権が消滅した場合は、みなし贈与により贈与税が課税されます。

それを避けるため、建物と土地の所有者(子ども)は配偶者に対価を支払うことが考えられます。

 

<関連記事>

「配偶者居住権の消滅」がみなし贈与にあたる場合とみなし贈与にあたらない場合

 

 

その場合の譲渡所得の計算を考えます

 

前提

■建物・土地所有者:被相続人(夫)

■夫死亡日:2021年3月20日

■建物相続税評価額:2,000万円

■土地相続税評価額:5,000万円

 

■被相続人の土地・建物の取得日:2010年12月1日

■被相続人の建物の建築費3,000万円

■被相続人の土地の取得費5,000万円

 

■配偶者の年齢:80歳10月(夫死亡日時点)

■建物・土地の相続人:長男

■建物構造:木造(法定耐用年数:22年)

 

■配偶者居住権放棄日:2026年3月20日(対価の支払い有り)

■配偶者居住権の対価:842万円

■土地の利用権( 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額)の対価:1.055万円

 

■配偶者居住権消滅時の建物相続税評価額:1,500万円

■配偶者居住権消滅時の土地相続税評価額:5,000万円

 

〔配偶者居住権の価額〕の譲渡所得の計算

 

 

1 収入金額 842万円+1,055万円=1,897万円

 

2 配偶者居住権の取得費

 

配偶者居住権の設定時の被相続人から引き継いだ建物取得費

 

ⅰ 3,000万円-3,000万円×0.9×0.031×15年※※=1,745万円

 

※耐用年数 22年×1.5=33年の定額法の償却率

※※2010/12/01~2026/03/20:15年3ケ月

 

ⅱ 1,745万円×1,329万円/2,000万円※※×(1-5/12※※※)=676万円

 

※ 配偶者居住権の設定時の価額:1,329万円

※※ 相続開始時の建物相続税評価額:2,000万円

※※※ ア/イ

ア:配偶者居住権の設定時から消滅時までの期間

2021/03/20~2026/03/20:5年

イ:配偶者居住権の存続期間

12年

 

3 配偶者居住権に基づく敷地利用権の取得費

 

5,000万円×1,055万円/5,000万円×(1-5/12)=615万円

 

4 長期短期の判定

 

配偶者居住権・敷地利用権

2010/12/01~2026/03/20 長期譲渡に該当

 

5 譲渡所得の計算(総合長期譲渡所得)

 

1,897万円-(676万円+615万円)-50万円=556万円

556万円×1/2=278万円

 

 

譲渡所得算出する際の考え方の留意点は

 

・配偶者居住権および土地の利用権( 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額)の対価は総合譲渡所得になります。

 

・土地の利用権( 配偶者居住権に基づく敷地利用権の価額)の取得費の計算の際には

配偶者居住権と同様に,減価の額を控除します。

 

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

秋の1日を元気にお過ごしください。

 

 

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