井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2018.11.15.Thu | 税金(法人)

退職金が節税につながる三つのメリット。税制上大変優遇されています ~ 知っておきたい法人節税策の基礎知識⑫【創業者向け】

 

木曜日は、創業者を対象に法人の節税策をわかりやすく紹介しています。

個人事業主は事業主本人に退職金を支払うことができませんが、法人は役員に従業員にも退職金という経費を支払うことができます。

さらに、退職金は税制上、大変優遇されています。退職というイベントは遠い将来のことだと思いますが、税金の仕組みを理解していただくことをおすすめします。

 

税制上大変優遇されています。退職金の3つのメリットとは

 

①退職金には、「退職所得控除」があります

 

給与所得にかかる給与所得控除と同じように、無条件で退職金から控除できる制度です。

たとえば、30年勤務して退職金を2,500万円受け取った場合

退職所得控除額は

800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円

になります。

退職所得控除額の計算は次の表のとおりです。

 

 

退職所得控除は勤続年数により算定されます。たとえば、上の例でいえば退職所得控除額は1,500万円ですので、もし退職金が1,500万円であれば税金はかかりません。

 

②退職所得は「1/2」の課税です

 

退職金から、①の退職所得控除額を差し引いた額に1/2を掛けて課税退職所得金額を算出します。課税される所得が1/2です。

さきの例でいうと

課税退職所得金額は (2,500万円-1,500万円)×1/2 = 500万円

になります。

次のようなイメージです。

 

(出所:国税庁「平成30年度版暮らしの税情報」)

 

③退職所得は「分離課税」です

 

退職金の支払を受けるときまでに、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者に提出している方は、源泉徴収だけで所得税の課税関係が終了(分離課税)しますので、原則として確定申告をする必要はありません。

 

つまり、分離課税の場合は分離課税単独で税計算を行います。給与所得や事業所得に加算されません。所得税は超過累進税率ですので、所得が多くなると税率が高くなります。しかし、退職所得は別に計算(分離課税)しますので、影響は受けません。

 

退職所得の三つメリットと給与所得とを比較します

 

先の例でいいますと

3,000万円の退職金で、所得税は58万4,522円です。実効税率は1.9%です

一方、3,000万円の給与だとすると、所得税は約787万円で、実効税率は26%です。税額はひとけた相違します。

 

ただし一定の制限がありますのでお気をつけください

 

不相当に高額な退職金は税務上否認される恐れがあります。また勤務期間が5年以下で役員がうけるものは1/2にはできません。

 

また、退職金の退職所得控除額については、転職者と非転職者で大きな手取り格差が存在するという点から、税制調査会で現在の仕組みの見直しが検討されています。

 

 

Every day is a new day.

秋の1日を元気にお過ごしください!

 

 

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木曜日は知っておきたい法人節税策の基礎知識【創業者向け】」を載せています

 

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同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。

http://www.y-itax.com/category/houjin/

あてはまる事例を参考にしてくださいね。

 

土地貸借の税務ルール

・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)

・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)

・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)

・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)

・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)

 土地売買の税務ルール

・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)

・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)

・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)

・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)

・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)

・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)

建物貸借の税務ルール

・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)

・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)

・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)

・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)

 金銭貸借の税務ルール

・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)

・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)

・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)

・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)

・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は新事業承継税制特例のポイント解説

・木曜日は法人節税策の基礎知識【創業者向け】

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」

 

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