井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

一からはじめる会計のお手伝い。スタートアップの志を支える税理士。
Blog丁寧解説お役立ちブログ。
2018.09.21.Fri | 税金(相続・贈与・譲渡)

相続税をわかりやすく⑱~預貯金の仮払い制度ができました。遺産分割に関する見直し。

 

金曜日は相続税をわかりやすく。

民法(相続法)が改正され、「仮払い制度」などが新設されています。

 

現行制度の問題点は

遺産分割が終了するまでの間は、相続人単独では預貯金債権の引き出しができませんでした

 

これは、どういうことかといいますと

相続された預貯金債権は遺産分割の対象財産に含まれることとなっており、共同相続人による単独での払戻しができないということです。

 

入院代金など被相続人の預金の引き出しができませんでした

 

次のようなものは、共同相続人の同意が得られないと、遺産分割が終了するまでの間、被相続人の預金の引き出しができませんでした。

■被相続人の入院代金等の債務の弁済

■葬儀費用の支払い

■被相続人から扶養を受けていた相続人の当面の生活費

 

 

相続人が当座の支払いに不都合が生じないよう二つの仮払い制度が新設されました

 

①仮分割の保全処分の要件緩和

 

仮払いの必要性があると認められる場合には,他の共同相続人の利益を害しない限り,家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようにしました。

つまり、仮払いを認めるかどうかは家庭裁判所の裁量にゆだねられることになります。

なお、次の要件に該当することが必要です。

■遺産の分割の審判または調停の申し立て

■被相続人の預貯金債権を利用する必要があること

■ほかの共同相続人の利益を害しないこと

■相続人による仮分割の仮処分の申し立て

 

②家庭裁判所の判断を経ずに払戻しができる制度の創設

 

遺産の預貯金債権のうち,一定額については,単独での払戻しを認めるようになります。

次の算式により一定額を計算します。

単独で払戻しをすることができる額=相続開始時の預貯金債権の額×1/3×当該払戻しを行う共同相続人の法定相続分

 

(出所:法務省資料)

上の例でいえば、たとえば被相続人の預金が600万円であれば

 

長男は、100万円を単独で払戻しをすることができます。

600万円×1/3×1/2=100万円

 

ただし、標準的な必要生計費や平均的な葬式費用その他の事情を考慮して、金融機関ごとの払い戻し上限額が省令で定められます。

 

「預金の払い戻し」は、払い戻しを受けた相続人に払戻額の分割がされたものと見なします。したがって、相続人は払戻金の使途を正確に記録する必要があります。

 

 

Every day is a new day!

秋の1日を元気にお過ごしください!

 

相続税をわかりやすく!

① 相続税の申告と納付までの、相続手続きの順序と流れ

② 遺産の分割が決まらないときでも、相続税の申告期限が延びることはありません

③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します

④ 相続人によって最低の取り分が保証されています

⑤ 単に財産をもらわないことを「相続放棄」とはいいません

⑥ 相続税がかからなくても申告が必要な場合があります

⑦ 相続登記をほうっておいたらどうなる

⑧ 相続税の申告をほうっておいたらどうなる

⑨ 相続税を一度に支払えません。相続税延納のポイント

⑩ 払いすぎた相続税を取り戻す手続き。「更正の請求」のポイント

⑪ 子どもがいる人が再婚したとき、連れ子は遺産を受け取る権利はありません

⑫ 夫婦に子どもがいない場合の遺産トラブル事例

 遺言執行者は定めておく必要がありますか?

⑭ 自筆遺言が書きやすくなります

⑮ 法務局による自筆証書遺言の保管制度ができます

⑯ 配偶者居住権の創設によりどうなるのか

⑰ 長期間結婚している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等を保護

 

金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。

争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。

「相続税をわかりやすく!」の記事は

http://www.y-itax.com/category/souzoku/

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」

・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は「新事業承継税制」特例のポイント解説

・木曜日は法人節税策の基礎知識【創業者向け】

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日は「贈与税についてわかりやすく!」

 

免責

ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

投稿タグ
カテゴリーで絞る
back記事一覧へ戻る

まずはお気軽にお問い合わせください

06-6318-7726

営業時間:9:00~17:00(月曜日~金曜日)

メールでのお問い合わせ