井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2024.04.17.Wed | 税金(個人)

年調減税額を計算するに当たって、従業員から新たに申告書を提出してもらう必要がありますか? ~ 所得税の定額減税(その19)



定額減税の記事を掲載します





年調減税額の計算に含める人数は、扶養控除等申告書や配偶者控除等申告書で把握することになっていますが、それだけではありません。いろいろな配偶者がでてきてややこしい!





を紹介します。



令和6年中の所得金額の見積額が1,000 万円超の給与所得者の同一生計配偶者については



年調減税額の計算に含める場合には、「年末調整に係る申告書」を年末調整時までに提出する必要があります。




一方、給与所得者の合計所得金額が1,805 万円を超える場合には



年調減税額の適用を受けることはできませんので、その給与所得者の提出した基礎控除申告書に記載された令和6年分の合計所得金額の見積額を確認して、判定することになります。




たとえば



Q:



従業員Aから、6月の月次減税額の控除の際に、同一生計配偶者について記載された「源泉徴収にかかる定額減税のための申告書」の提出を受けています。

この場合、年調減税額の計算の際に、従業員Aから新たに何らかの申告書の提出を受ける必要がありますか?



A:



同一生計配偶者について記載した「源泉徴収にかかる定額減税のための申告書」の提出を受けた場合であっても、年末調整の際に、「配偶者控除等申告書」(または「年末調整に係る定額減税のための申告書」)の提出を受ける必要があります。



また、同一生計配偶者について



源泉控除対象配偶者として記載した「扶養控除等申告書」の提出を受けた場合においても、「配偶者控除等申告書」(または「年末調整に係る定額減税のための申告書」)の提出を受ける必要があります。



つまり、年末調整において同一生計配偶者については



① 控除対象配偶者に該当する人については「配偶者控除等申告書」に記載します

② 控除対象配偶者に該当しない人については「年末調整にかかる定額減税のための申告書」に記載します。



したがって



給与所得者の提出した「配偶者控除等申告書」に氏名が記載されている「控除対象配偶者」は、年調減税額の計算に含めます。



一方





配偶者控除等申告書に記載があっても「配偶者特別控除の適用を受ける配偶者」については年調減税額の計算に含めることはできません



合計所得金額48万円超の配偶者については、配偶者自身の所得税において定額減税額の控除を受けることになります。




<参考>

「控除対象配偶者」とは



同一生計配偶者のうち、所得者の合計所得金額が1,000万円以下である人の配偶者をいいます。



「同一生計配偶者」とは



生計を一にする配偶者のうち合計所得金額が48 万円(給与所得だけの場合は給与等の収入金額が103 万円)以下の人をいいます。(青色事業専従者を除く)



「配偶者特別控除」とは



所得者と生計を一にする配偶者の合計所得金額が48 万円超の場合であっても、一定の要件を満たしている場合に受けられる控除のことをいいます。





(出所:「給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかたと留意点」令和6年3月5日国税庁課税部法人課税部 資料53頁)







<参考> 定額減税額の記事



→ 「月次減税額の計算」で注意するポイントは3つ(その1)

→ 定額減税の概要と給与支払者の事務をざっくりと(その2)

→ 「手順1 控除対象者の確認」と「手順2 各人別控除事績簿の作成」 (その3)

→ 「手順3 月次減税額の計算について (その4)

→ 「手順3 月次減税額の計算について」居住者である扶養親族の確認(その5)

→ 「手順4 給与等支払時の控除」について(その6)

→ 「手順5 控除後の事務」(その7)

→ 年金を受ける人は月次定額減税の「控除対象者」になりますか?(その8)

→ 「源泉控除対象配偶者」で注意したいポイントは2つ(その9)

→ 「源泉控除対象配偶者」として記載していません。妻が障がい者のケース(その10)

→ 16歳未満の扶養親族を扶養控除等申告書に記載していない従業員(その11)

→ 「7月に子どもが生まれた場合」「4月に母親がなくなった場合」(その12)

→ 月次減税の対象となる給与などその対象となるものの範囲(その13)

→ 年末調整の際に年調減税額にもとづき年間の所得税額との精算をします(その14)

→ 「年調減税事務」の手順のうち「手順1対象者を確認する」とは?(その15)

→ 「年調減税事務」の手順のうち「手順2 年調減税額を計算する」とは?(その16)


→ 「年調減税事務」のうち「手順3 年調減税額を控除するとは」?(その17)


→ 「年調減税事務」源泉徴収簿を使用する場合の記載について(その18)




「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」

(ピーター F.ドラッカー)

春の1日、朗らかにお過ごしくださいね。






[編集後記]


今日は消費税の記事はお休みしました。






ブログは、曜日によりテーマを決めて書いております。

現在は、消費税の記事を取り上げて、月曜日~金曜日に記事を書いております。




「消費税」

「法人税」または「経理・会計」

「贈与や相続・譲渡など資産税」または「確定申告などの所得税」










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ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。

また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。

本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。


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