井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2019.01.24.Thu | 税金(法人)

建物やオフィスの賃借に伴い支払った保証金の会計・税務処理について ~ 知っておきたい法人節税策の基礎知識⑳

 

木曜日は、創業者を対象に節税策をわかりやすく紹介しています。

 

オフィスなどの建物を賃借しますと、建物のオーナーなどに礼金、家賃、保証金や不動産業者に仲介手数料を支払います。

これらの支払のうち、保証金に関する契約を確認することをおすすめします。

 

保証金とは、原則として解約時には返還されるお金です

 

しかし、預けた保証金のうち一定割合が返還されない契約となっているケースが多いです。

 

たとえば、

保証金300万円(退去時に20%償却。契約期間は3年で更新可)という支払をした場合

 

この場合の返還されない部分の金額(すなわち償却費相当額)は、明らかです。

返還されないことが明らかな金額は、「繰延資産」に該当することになります。

 

繰延資産(くりのべしさん)とは

 

法人が建物を賃借するために支払った権利金、立退料などの費用で支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものは、繰延資産になります。

→ 開業費などの繰延資産の考え方のポイント

 

事例の保証金300万円のうち退去時に20%償却部分は、「建物を賃借するために支出する権利金、立退料その他の費用」になりますので、繰延資産として償却することになります。

 

保証金(繰延資産)の償却期間について

 

5年です

ただし、契約による賃借期間が5年未満の場合で、契約の更新に際して再び権利金等の支払を要することが明らかであるときは、その賃借期間となります。

したがって、事例のケースは3年で償却することになります。

 

次のように計算します。

300万円 ×20% ×12月/36月 =20万円 → 費用計上

 

ただし、事業年度の中途での支出の場合は、「その事業年度の月数」は支出の日から事業年度末までの月数となります。この場合、月数は暦に従って計算し、1か月に満たない端数はこれを1か月とします。

 

 繰延資産が20万円未満であれば

 

もし繰延資産が20万円未満であれば一括償却できます。

また、消費税については、事例の300万円×20%×12月/36月=20万円→費用計上の部分は課税仕入になることにも注意します。

 

次の場合に該当する場合は、償却期間にご注意ください

 

①建物の新築に際して支払った権利金等で、その金額が建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、かつ、その建物が存続する期間中は賃借できる状況にあると認められる場合

→ その建物の耐用年数の10分の7に相当する年数

 

②建物の賃借に際して支払った①以外の権利金等で、契約や慣習などによって、明渡しに際して借家権として転売できることになっている場合

→ その建物の賃借後の見積残存耐用年数の10分の7に相当する年数

 

建物賃借に伴う保証金の支払があれば、決算の際に再度契約書を確認することをおすすめします。

 

 

Every day is a new day.

今日も1日を元気にお過ごしください!

 

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木曜日は知っておきたい法人節税策の基礎知識」を載せています

 

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同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。

http://www.y-itax.com/category/houjin/

あてはまる事例を参考にしてくださいね。

 

土地貸借の税務ルール

・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)

・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)

・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)

・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)

・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)

 土地売買の税務ルール

・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)

・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)

・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)

・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)

・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)

・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)

建物貸借の税務ルール

・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)

・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)

・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)

・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)

 金銭貸借の税務ルール

・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)

・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)

・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)

・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)

・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は新事業承継税制特例のポイント解説

・木曜日は知っておきたい法人節税策の基礎知識

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」

 

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