井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2019.07.25.Thu | 税金(法人)

同族会社が個人所有の土地を権利金なしで借り受けた場合~「土地の無償返還に関する届出書」とは何ですか①

 

木曜日は、法人税などの節税の記事を紹介しています。

個人が所有する土地等を、無償で同族会社が借り受けた場合について、ご照会がありましたので、その課税関係を検討するとともに、節税策について検討します。

 

今回は、何も対応をしなかったケースを検討します

 

前提

同族会社が社長から建物を建てる目的で土地を無償で借りた場合

 

社長に対する課税

 

原則として、土地等を無償で法人に贈与した場合は、その贈与の時に時価により譲渡があったとみなされて、譲渡所得課税(みなし譲渡)されます。

しかし、みなし譲渡課税の対象となる「譲渡所得の基因となる資産の移転」には、借地権等の設定は含まれていません。(所得税基本通達59-5)

したがって、借地権の無償設定は、資産の移転に該当しませんので、みなし譲渡課税の規定の適用はありません。

 

ただし、譲渡所得とされる場合があります(1/2を超える対価を取得している場合)

 

借地権の設定のうち、その設定対価が譲渡所得とされる場合があります。

その借地権の設定の対価がその土地の価額の2分の1を超える場合には、譲渡所得とされます。

 

同族会社に対する課税(受贈益課税)

 

その土地を借り受けた同族会社が、相当の地代を支払わず、「土地の無償返還に関する届出書」を提出してない場合は、その借地権の価額に対する経済的利益を受け取ったことになりますので、その経済的利益(受贈益)に対して法人税が課税されます。

 

仕訳で考えますと(借地権の価額が8千万円だとすると)

(借地権)8千万円 /(受贈益)8千万円

 

<参考>

→  土地の無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません

 

株主に対する課税(みなし贈与課税)

 

同族会社の場合、その法人が借地権という財産を取得したことになります。株式の増加した含み益について、土地所有者である社長から、他の株主に対して贈与があったものとみなされます。他の株主に対して贈与税が課税されることがあります。

 

 

相続税法基本通達

9-2  株式又は出資の価額が増加した場合

同族会社の株式価額が、例えば、次に掲げる場合に該当して増加したときにおいては、その株主が当該株式のうち増加した部分に相当する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。

この場合における贈与による財産の取得の時期は、財産の提供があった時、債務の免除があった時または財産の譲渡があった時によるものとする。

会社に対し無償で財産の提供があった場合

→ 財産を提供した者

②時価より著しく低い価額で現物出資があった場合

→ 現物出資をした者

③対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合

→ 債務の免除、引受けまたは弁済をした者

④会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合

→ 財産の譲渡をした者

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

夏の1日を元気にお過ごしください。

 

 

【編集後記】

画像は、昨日の祇園祭の24日の後祭(あとまつり)。

偶然に写真に収めることができました。

おそらく「大船鉾」だと思います?

 

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木曜日は「知っておきたい法人節税策の基礎知識」を載せています

 

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養老保険~ 役員や従業員に対する福利厚生プランへの活用

定期保険付きの養老保険の保険料の取扱い

会社が支払う終身保険の保険料の取扱い

これからの長期平準定期保険の取扱いおよび改正後で全額損金算入のもの

最高解約返戻率50%超の保険は、保険料の一部を資産計上します

法人が支払う第三分野保険の保険料の取扱いが変更されています

「がん保険」保険料の取扱いが変更になっています

法人契約の個人年金保険の取扱い。資産になるケースと損金になるケース

 

同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。

http://www.y-itax.com/category/houjin/

あてはまる事例を参考にしてくださいね。

 

土地貸借の税務ルール

 

・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)

・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)

・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)

・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)

・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)

 

 土地売買の税務ルール

 

・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)

・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)

・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)

・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)

・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)

・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)

 

建物貸借の税務ルール

 

・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)

・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)

・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)

・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)

 

 金銭貸借の税務ルール

 

・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)

・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)

・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)

・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)

・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は「消費税」

・木曜日は知っておきたい法人節税策の基礎知識

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日は特にテーマを決めずに書いてます

 

免責

ブログ記事は、投稿時点での税法等に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

 

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