井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

一からはじめる会計のお手伝い。スタートアップの志を支える税理士。
Blog丁寧解説お役立ちブログ。
2020.08.13.Thu | 税金(法人)

会社が役員から建物を借りる場合に注意したいこと ~ 知っておきたい法人節税策の基礎知識[58]

 

木曜日は法人税の記事を書いています。

 

今回は

 

会社が役員から建物を借りる場合に注意したいこと

 

を紹介します。

役員が会社に建物を貸すケースとして、しばしばご質問をうけることがあります。

 

会社が役員から建物を借りる場合は、第3者に貸す際の標準の賃料を基準にします

 

法人税法上、ルールがあるわけではありませんが、その建物を第三者から借りた場合に支払う通常の相場の家賃がどうかによって、判断することになります。

 

通常相場の家賃と違うケースでは

 

①実際の家賃が通常相場の家賃よりも低い場合と②実際の家賃が通常相場の家賃が高い場合が考えられます。

 

①実際の家賃が通常相場の家賃よりも低い場合では

 

実際家賃との差額が、社長から会社に対する贈与と考えられます。言い換えますと、会社は、役員から差額相当分の受贈益を受けていると考えます。

しかし、同額の支払家賃が発生していると考えますので、課税上問題になることはありません。

差額分については次のような仕訳になります。したがって、損金と益金が相殺されることになり、会社の所得金額には影響がありません。

 

支払家賃(損金算入) 〇〇円 / 受 贈 益(益金算入)   〇〇円

 

なお、役員の方は所得税法上、個人はあくまでも実際に受け取ったものについてのみ、収入金額として計上することになります。このような低い家賃を受け取ったケースでは、その低い家賃をそのまま個人の不動産所得の収入金額として計算します。

 

②実際の家賃が通常相場の家賃が高い場合では

 

問題が発生します。

通常相場よりも高い部分の金額が、役員給与と認定される可能性があります。

役員給与となれば、定期同額給与に該当し、その高額な部分に対する源泉徴収が必要となります。

また、役員報酬の限度額を超える場合は、役員給与の損金不算入となり、会社の所得計算に影響が生じます。

 

また、役員については、その通常相場を超える部分については、不動産所得ではなく、あくまで会社からの報酬となり、給与所得の収入金額になります。

 

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

夏の1日を元気にお過ごしください。

 

 

創業者には、事業を着実に成長させるために、決算書の会計データを計器盤として利用することをおすすめしています。次のようなサービスを提供しております。

創業起業サポート

 

お伺いして、会計処理や税務の相談や提案などさせていただくサポートサービスを提供しております。

▶  税務会計顧問サービス

 

 

知っておきたい法人節税策の基礎知識」の記事は次のとおりです。

[1] 会社名義で社宅を借りる

[2]  青色申告になる手間やデメリットはありません

[3]  出張旅費規程を作成し、日当を定めて経費にする

[4]  役員に給与を支払えば、効果的な節税が可能です

[5]  未払経費をもれなく計上します

[6]  給与アップより社宅を提供。社員と法人、双方がお得です

[7]  創立費と開業費などの繰延資産の任意償却

[8]  資産を経費に(30万円未満の減価償却資産を即時償却

[9]  法人税を直接安くできるのが税額控除です

[10] 飲食費のうち、会議費・交際費・福利厚生費として認められるもの

[11] 経営セーフティ共済の4つのメリット。1年分前納可能です

[12] 退職金が節税につながる三つのメリット。税制上大変優遇されています

[13] 小規模企業共済等掛金控除の3つのメリット

[14] 消費税、持ち帰り(テイクアウト)と店内飲食の税込価格を一律にする方法

[15] 貸倒引当金~一定の要件をみたせば債権の50%を経費計上できます

[16] 税額控除を上手に活用して、税額控除をとりきる

[17] 保険契約は出口を考える。解約時に保険金収入を退職金で打ち消す

[18] 忘年会・新年会などの経費を福利厚生費として活用します

[19] 中古車の耐用年数の計算の仕組み

[20] 建物やオフィスの賃借に伴い支払った保証金の会計・税務処理

[21] 中小企業経営強化税制のメリットと活用のすすめ

[22] 2年しばり(継続適用)の「消費税の選択届出書」には注意します

[23] 消費税の課税売上割合が95%未満の場合は、納税額が増えます

[24] 消費税「個別対応方式」がいいのか「一括比例配分方式」がいいのか

[25] 従業員さんの残業時食事代は会社の経費に落とせるの

[26] 資格取得や免許取得などの研修費用や技能習得費は会社経費にします

[27] 軽減税率対策補助金を活用しましょう

[28] 社員旅行の費用を、福利厚生費として処理するために

[29] 費用?減価償却?資産を買ったときは請求書の中身を確認します

[30] 法人税と所得税の税率の比較から、オーナー企業の役員報酬額を考えます331

[31] 個人事業から法人化(法人成り)する場合の3つのデメリットか

[32] 消耗品のまとめ買いで経費算入できますか

[33] 印紙税は、紙でなければ課税対象となりません

[34] 貸倒損失として処理できる場合

[35] 従業員の退職金を事業年度ごとに損金にする「中小企業退職金共済

[36] 掛け捨ての生命保険を活用します

[37] 養老保険~ 役員や従業員に対する福利厚生プランへの活用

[38] 定期保険付きの養老保険の保険料の取扱い

[39] 会社が支払う終身保険の保険料の取扱い

[40] これからの長期平準定期保険の取扱いおよび改正後で全額損金算入のもの

[41] 最高解約返戻率50%超の保険は、保険料の一部を資産計上します

[42] 法人が支払う第三分野保険の保険料の取扱いが変更されています

[43] 「がん保険」保険料の取扱いが変更になっています

[44] 法人契約の個人年金保険の取扱い。資産になるケースと損金になるケース

[45] 自社のホームページの作成費用は、原則として「広告宣伝費」です

[46] 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)個人の地位を引き継ぐ

[47] 棚卸資産の取得価額を見直します。取得のための少額付随費用は取得価額に含めなくてかまいません

[48] 新型コロナの影響で不動産貸付業を行っている会社が賃貸料を減額した場合 

[49] 機械装置など取得価額の全額を償却することができる即時償却【中小企業経営強化税制】

[50] 「会社が役員からお金を借りる」同族関係者間の金銭貸借の税務ルール

[51] コロナによる業績が悪化または悪化が見込まれる場合の役員給与の減額

[52] コロナにより業績が悪化し、役員給与の未払計上を検討する場合

[53] 会社の「役員借入金」は、役員(被相続人)の相続財産になります

[54] 会社に対する貸付金を、役員が債権放棄した場合

[55] 役員の未払給与を支払わないことにした場合「未払給与の免除益」の特例

[56]   役員の未払給与を支払わないことにした場合、「源泉所得税」の取扱い

[57]  災害の場合の取引先に対する売掛債権などの免除の取扱い

 

同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。

http://www.y-itax.com/category/houjin/

あてはまる事例を参考にしてくださいね。

 

土地貸借の税務ルール

 

・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)

・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)

・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)

・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)

・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)

 

土地売買の税務ルール

 

・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)

・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)

・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)

・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)

・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)

・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)

 

建物貸借の税務ルール

 

・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)

・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)

・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)

・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)

 

 金銭貸借の税務ルール

 

・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)

・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)

・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)

・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)

・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「介護事業」

・水曜日は「消費税」

木曜日は「知っておきたい法人節税策の基礎知識」

・金曜日は「贈与や相続・譲渡など資産税」

・土曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」

・日曜日は、テーマを決めずに書いています。

 

免責

ブログ記事は、投稿時点での税法等に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

投稿タグ
カテゴリーで絞る
back記事一覧へ戻る

まずはお気軽にお問い合わせください

06-6318-7726

営業時間:9:00~17:00(月曜日~金曜日)

メールでのお問い合わせ