井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2019.08.17.Sat | 経理・会計

運転資金は、銀行からどれくらい借りられるか? ~ 中小企業「決算書」の読み方入門②

 

土曜日は、経営者にとって必要な“会計”を紹介します。

経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方として、経営者の方が会社の数字をざっくり理解して、融資や経営に活かせる会計の考え方を紹介していきます。

今回は

 銀行が考える適切な運転資金融資額の金額はいくらか?

 を紹介します。

 

運転資金とは

 

運転資金とは、「仕入」→「在庫」→「販売」→「回収」の営業サイクルの中で、経常的に必要となる資金です

運転資金が必要となるのは、キャッシュ回収までのタイムラグがあるからです。

いいかえると、お金の入ってくる時期が、お金が必要な時期に比べて遅れることに原因があります。

つまり、商品を仕入れたものの、在庫や売掛金でお金が入ってこない期間の方が、仕入代金の支払いを待ってもらっている期間よりも、長いからです。

仕入れてから売上までの期間のキャッシュのズレにより、運転資金が必要となるわけです。

 

運転資金をわかりやすく図にすると、次のようになります

 


 

運転資金の算式は次のようになります

 


 

 

したがって自社の必要な運転資金は、算式にあてはめれば簡単に算出できます

 

たとえば、A社の貸借対照表中で、運転資金を構成する科目の金額が次のようであれば

売掛金および受取手形  40百万円

棚卸資産        9百万円

買掛金        15百万円

支払手形        0百万円

 

算式にあてはめますと

 

売上債権(売掛金および受取手形40百万円)+棚卸資産9百万円-仕入債務(買掛金15百万円)=34百万円

したがって、A社の必要な運転資金は約34百万円になります。

 

しかし、A社の貸借対照表中に次のように銀行からの借入金があれば

 

短期借入金 10百万円

長期借入金  5百万円

 

銀行はこの借入金を既に運転資金として使用していると考えます

 

追加融資額は次のような算式でもとめます。

①A社の必要な運転資金   34百万円

②短期借入金・長期借入金 ▲15百万円

③①-②=         19百万円

 

銀行は運転資金の追加融資として、約19百万を適切な融資額と考えます。

既存の借入金の使途を、運転資金に使っているものとみなして考えるからです。

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

夏の1日を元気にお過ごしください。

 

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経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方

1 借入金の返済に必要なもうけはいくらですか?

2 決算書の全体像をイメージする

3 売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう

4 売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります

5 会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意

6 粗利率ではなく粗利益(売上総利益)でみる

7 販管費とは営業にかかった費用のことをいいます。 

8 交際費は年間800万円までが経費になります。 

9 本来の事業でどれだけ稼げているか?がわかるのが営業利益。 

10 価値を減じて償却する。減価償却費とは何か

11 経常利益・略してケイツネはPLの中で最も重要な利益

12 PLの中の5つの利益のうち、4つめの利益が税引前当期純利益

13 5つめの利益が当期純利益。会社が1年間で得た最終的な利益です

14 貸借対照表の見方~お金の動かしやすいものから、上から順にならびます

15 流動資産の3つの区分~資産でないものが含まれています

16 固定資産は使い続けることで利益を生み出す資産です

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18 土地の価額は、資産価値の実態を反映していますか?

19 販管費のうちの人件費。ポイントになるのは「役員報酬」です

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21 貸付金のうち、中小企業で最も多いのは社長への役員貸付金

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23 売掛金の回収サイトのチェックポイント。介護事業の回転月数は約2.5月

24 売掛金の期末残高について注意したい3つのポイント

25 在庫の過大計上は資産が増えるわけですから「利益」が増えます

26 高額な仮払金・立替金などは決算書に計上してはいけません

27 債務の計上はもれてしまいます。計上もれを防ぐための方法 

28 運転資金を算出するための計算ポイントと必要運転資金

29 中小企業の借入限度額は?借入金の妥当額の考え方

30 自社でやる借入金の3つのチェックポイント

31 仮受金のなかに借入金はありませんか

32 創業者の9割は決算書を見ていない。はじめての決算書6つのチェックポイント

33 「利益」と「借入限度額」の目安

34 つぶれない会社を決算書からチェックする3つのポイント

35 社長からの借入金はメリットになるときがあります

36 実態バランスシートで経営を把握します

37 月次試算表のチェック方法① 現預金の残高からチェックします

38 月次試算表のチェック方法② 次に利益剰余金と売掛金

39 月次試算表のチェック方法③ 棚卸資産と貸付金

40 月次試算表のチェック方法④ 負債科目の買掛金と未払金

41 月次試算表のチェック方法⑤  キャッシュフローをつかむ

42 月次試算表のチェック方法⑥  損益計算書のチェックポイント

43 月次試算表のチェック方法⑥ 損益計算書「売上」のチェックポイント

44 借入金の返済額のうち元金は、損益計算書に計上されません

45 短期継続融資による経常運転資金の調達

46 金融検査マニュアル別冊の「事例20」短期継続融資

47 短期継続融資が何ら問題ない事例

48 事業の変化を見るには、数字を見る以外にありません。年計表を活用します

49 販売費および一般管理費(販管費)の特徴と考え方

50 月次の貸借対照表の数字により経営の問題を発見する方法

51 会社の売上は「率」よりも「金額」が重要になります

52 粗利(あらり)とは売上総利益のことです

53 粗利率とは何ですか

54 借入金の返済と「短期借入金」と「長期借入金」の考え方

 

銀行はいかに企業を評価するか?評価を上げて資金調達を有利にする方法

① 銀行は中小企業の評価を実体的な財務内容で判断します

 銀行は経営者と企業を一体として判断します

 金融機関が取引先の将来性を判断する際のポイント「技術力

 将来性を判断する際のポイント「販売力

 金融機関が取引先を判断する際のポイント「代表者個人の信用力

 経営改善に向けた取り組みが大切

 経営改善に向けた取り組みが高く評価されます

⑧ 今後の再建可能性を銀行が判断する際のポイント「本業の収益力

⑨ 「企業の返済能力」は重要な判断ポイント

⑩ 信用保証協会の保証により融資保全されている場合は条件変更が行いやすい

 金融検査マニュアルの廃止と健全性政策基本方針の策定

 経営改善計画の策定とその具体的な実行があれば、不良債権にはなりません

 大幅な赤字や債務超過でも、キャッシュフローの状況で判断します

 多額の代表者報酬で会社が赤字となっているケース

 家族の支援・資力は、企業の返済能力に含まれます

 債務超過でも商品実績や新規販売経路の開拓に見込がある中小企業は評価されます

 経営改善計画を策定していない場合でも、経営改善に向けた取り組みが評価されます

 外部要因にともなう一時的な影響による計画未達に対する評価とは

 設備投資をしたのに、運転資金で借り入れている場合

 貸出条件の変更を行っても不良債権にならない場合となる場合

㉑ 担保・保証で保全されている場合には、不良債権にはなりません

 

土曜日は「会計」を紹介しています。

ブログ記事はhttp://www.y-itax.com/category/keiri/

 

会計超理解ハンドブック(No1~No17)

① 会計の勉強を始めたが…

② 財務三表とは?

③ 損益計算書は5つの“利益”だけ覚えてください

④ 損益計算書は前期と比較する

 貸借対照表は三つの箱で理解する!

⑥ 貸借対照表は五つの箱で考える。

⑦ 貸借対照表で現金を増やす方法がわかる。 

⑧ キャッシュフロー計算書は資金繰り表です

 ⑨ 減価償却費って何ですか

 ⑩ 利益は出ているけれど、黒字倒産はなぜ起こる

⑪ 決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイントは純資産です

⑫ 貸借対照表のチェックポイント「固定資産と純資産」です。

⑬ C/F計算書のチェックポイントは「営業キャッシュフロー」です

⑭ 貸借対照表は2期分ならべて比べる。  

⑮ 利益の増加とは、自力で資金調達していることと同じです。   

⑯ 毎月、試算表を作成して活用する!

⑰ 月次の試算表から、資金繰りを把握する方法

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「平成31年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は「消費税」

・木曜日は「法人節税策の基礎知識

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日はテーマを決めずに書いています

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ブログ記事は、投稿時点での税法等に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。

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