井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2019.10.25.Fri | 税金(相続・贈与・譲渡)

法改正で遺留分は原則として現金で支払うことになります ~ 相続法の改正で大きく変わります⑧

 

金曜日は、相続税や贈与税を記事にしています。40年ぶりに相続法が改正されています。

 

遺留分を「金銭債権化」することで、原則、金銭払いに変更されています

 

「遺留分の減殺請求」の名称は、「遺留分侵害額の請求」に改められています。

 

 

遺留分とは

 

相続人が最低限受け取ることのできる権利(財産)が遺留分です。

ただし、遺留分を有する相続人は、配偶者、子、直系尊属です。兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分の割合は次のように定められています

① 直系尊属のみが相続人であるときは、3分の1

② その他の場合は、2分の1

 

※ この場合の遺留分を総体的遺留分といいます。個別的遺留分は、総体的遺留分を法定相続分で配分した割合になります。相続人の組み合わせにより遺留分は相違します

 

変更の内容

 

■遺留分減殺請求権から生ずる権利を「金銭債権化」します。

■金銭を直ちには準備できない受遺者等の利益を図るため、受遺者等の請求により、裁判所が金銭債務の全部または一部の支払につき「相当の期限」を認めることができるようにします。

 

しかし、遺留分侵害額を請求された相続人に現金がなければ

 

相続した不動産を売却することで現金を用意することになります。

 

相続した不動産を売却する場合には

 

土地などの不動産の譲渡には、所得税と住民税が課されます。その税金分を見越してより広い土地などを売却しないと、支払う遺留分の現金を準備することができません。

 

その際、譲渡所得にかかる税金が発生します

 

譲渡所得の金額は次のように計算します。

売却代金-売却した土地の取得費-譲渡費用=譲渡所得の金額

 

ここで問題になるのは、土地の取得費です

 

売却した土地の取得費は、地価の安い昔に購入した土地であるほど、譲渡所得の金額(売却益)は大きくなります。

また、実際の土地の取得費が分からない場合は、売却代金の5%で計算して取得費とします。このケースが多いと思います。

 

ほとんどは、相続した土地の所有期間は5年超です

 

その際は、長期譲渡所得のケースになり、税率は、所得税15.315%、住民税5%になります。

つまり、売却益の約20%が税金としてキャッシュアウトします。注意します。

遺留分の金銭債権化にともなって、土地を譲渡する場合には譲渡所得にかかる税金分を含めて検討する必要があります。

 

《参照記事》

遺留分とは?

変更の理由とは?遺留分減殺制度が変わります

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

秋の1日を元気にお過ごしください。

 

相続法の改正で大きく変わります

18歳から「大人」。成年年齢引き下げで変わる相続税・贈与税

配偶者居住権はどんなメリットがあるのか?

配偶者居住権とは何か?

配偶者居住権に贈与税課税が発生します

・土地の共有が「売却」とみなされるケース

嫁でも介護などで遺産請求ができるように。「特別寄与料」の相続税の取扱い

結婚20年以上の妻に自宅を「贈与」すると、遺産分割の対象外になります

 

これならわかる相続税

① どれぐらいの財産があると相続税がかかるのか? 

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 交通事故の損害賠償金は相続財産になりますか?

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⑦  弔慰金を受け取ったとき、相続税がかかる場合とその計算方法

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⑪ 誰が相続人になるのか確認しましょう。相続人の優先順位

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⑭ 相続財産を公益法人などに寄附したとき相続税の対象としない特例があります

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 相続税の計算~各相続人の納付税額の計算のしくみ

 相続税額の2割加算の対象者を確認します。孫は要注意です

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 「未成年者の税額控除」未成年者の相続で注意すべきポイント

 障害者税額控除

 10年以内に父と母が立て続けになくなったなど、連続で相続が発生した場合

 法定相続人の数は重要です。相続人の中に養子がいるときは注意です

 代償分割とは、遺産の現物分割が困難な場合に行われる方法です

㉖ 遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税と贈与税

 医療法人の持分についての相続税の納税猶予の特例

 相続税申告の進め方「相続税の申告のために必要な準備

㉙ 財産がいくら以上であるとかかるのか?いつまでに手続きをするのか?

㉚ 申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合の対策とは

 相続時精算課税は相続税のかからない方に有利な贈与税の制度です

 相続時精算課税制度の贈与税・相続税の税額計算の方法

 相続時精算課税の選択をした場合の贈与税の計算

 住宅取得等資金贈与の際の「相続時精算課税選択の特例

㉟ 相続時精算課税と住宅取得等資金の贈与の特例は併用できます

㊱ 相続時精算課税と住宅取得等資金の贈与特例の併用の際、家屋に居住できないとき

 消費税増税に伴い、住宅取得等資金贈与の非課税限度額が引き上げられています

㊳ 相続時精算課税選択後、相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告は不要です

 贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合、相続時精算課税選択届出書の提出

 年の中途に養子縁組で推定相続人または孫となった場合の相続時精算課税の適用

 養子縁組した養子の子(孫)は相続時精算課税を受けることとできますか

 相続人の中に養子がいるとき、養子の相続する権利とは

 相続時精算課税を選択する場合の「相続時精算課税選択届出書」と添付書類

 受贈者が「相続時精算課税選択届出書」を提出する前に死亡した場合

 贈与者が贈与をした年に死亡した場合「贈与税・相続税の取扱い」の考え方

 

相続税をわかりやすく!

① 相続税の申告と納付までの、相続手続きの順序と流れ

② 遺産の分割が決まらないときでも、相続税の申告期限が延びることはありません

③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します

④ 相続人によって最低の取り分が保証されています

⑤ 単に財産をもらわないことを「相続放棄」とはいいません

⑥ 相続税がかからなくても申告が必要な場合があります

⑦ 相続登記をほうっておいたらどうなる

⑧ 相続税の申告をほうっておいたらどうなる

⑨ 相続税を一度に支払えません。相続税延納のポイント

⑩ 払いすぎた相続税を取り戻す手続き。「更正の請求」のポイント

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⑫ 夫婦に子どもがいない場合の遺産トラブル事例

 遺言執行者は定めておく必要がありますか?

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⑮ 法務局による自筆証書遺言の保管制度ができます

⑯ 配偶者居住権の創設によりどうなるのか

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 遺言よりも登記を優先。銀行など第三者が貸付金を回収しやすくなります

㉒ 義父母の介護が報われる。特別寄与料の請求権の新設

⑭ 相続財産を公益法人などに寄附したとき相続税の対象としない特例があります

 

 

金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。

争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。

「相続税をわかりやすく!」の記事は

http://www.y-itax.com/category/souzoku/

 

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「平成31年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は「消費税」

・木曜日は「法人節税策の基礎知識

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日はテーマを決めずに書いてます

 

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