井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2019.11.29.Fri | 税金(相続・贈与・譲渡)

「配偶者居住権」の相続税評価額の具体的な計算ポイント ~ 相続法の改正で大きく変わります⑬

 

金曜日は、相続税や贈与税を記事にしています。40年ぶりに相続法が改正されています。

 

新たに創設された制度が「配偶者居住権」です

 

「配偶者居住権」という新たな権利ができたことにより、「建物の価額(A)」は配偶者の「配偶者居住権の価額(A1)」と所有者の「所有権部分の価額(A2)」に分かれます。

また、「土地の価額(B)」は、「配偶者の敷地利用権の価額(B1)」と所有者の「所有権部分の価額(B2)」に区分されることになります。

 

つぎのとおりです。

 

つまり、「配偶者居住権部分(A1+B1)」と「所有権部分(A2+B2)」との合計額は、その建物(A)および土地(B)の時価と一致します。

 

 

具体的な評価は次の計算式で計算します。

 

建物の価額(A)

 

配偶者居住権の価額(A1の評価)

建物の時価 - 建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×複利現価率

 

建物所有権部分の価額(A2の評価)

建物の時価 – A1

 

土地の価額(B)

 

配偶者の敷地利用権の価額(B1の評価)

土地の時価 – 土地の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

 

土地所有権部分の価額(B2の評価)

土地の時価 – B2

 

 

具体例で評価してみます。たとえば

 

■夫が死亡

■子どもが自宅の土地(相続税評価額:8,000万円)、建物(相続税評価額1,000万円、木造築年数15年)を相続します。

■配偶者(75歳)は終身の配偶者居住権を取得します。

 

 

■建物の価額(A)

 

配偶者居住権の価額(A1の評価)

建物の時価 - 建物の時価×(残存耐用年数※1-存続年数※2)/残存耐用年数※1×複利現価率※3

1,000万円-1,000万円×(18年-16年)/18年×0.624=931万円

 

※1 残存耐用年数…33年-15年=18年(耐用年数22年×1.5=33年、建築経過年数15年)

※2 存続年数 16年(完全生命表による75歳女性の平均余命)

※3 存続年数(16年)に応じた複利現価率(法定利率年3%)…0.624

 

建物所有権部分の価額(A2の評価)

建物の時価 – A1

1,000万円-931万円=69万円

 

 

■土地の価額(B)

 

配偶者の敷地利用権の価額(B1の評価)

土地の時価 – 土地の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

8,000万円-8,000万円×0.624=3,008万円

 

土地所有権部分の価額(B2の評価)

土地の時価 – B2

8,000万円-3,008万円=4,992万円

 

 

 

変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)

Every day is a new day!

秋の1日を元気にお過ごしください。

 

 

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金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。

争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。

「相続税をわかりやすく!」の記事は

http://www.y-itax.com/category/souzoku/

 

 

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・火曜日は「平成31年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は「消費税」

・木曜日は「法人節税策の基礎知識

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日はテーマを決めずに書いてます

 

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